2025年2月  3.キリストの使命

 教皇は、「キリストの使命に奉仕する」司祭職や修道生活への呼びかけを感じている若者に対して、教会共同体がしっかりとサポートすることを、意向として掲げています。そこで、キリストの使命は何かについて、思いめぐらしてみましょう。
 キリスト教は愛の宗教だと言われています。ヨハネ福音書15章の「互いに愛し合いなさい」、ルカ福音書6章の「敵を愛しなさい」といったキリストの愛の教えは、あまりにも有名です。神は人類を救うために、罪から解放するために、ひとり子イエスを遣わされたという信仰のうちに、愛の教えはどのように位置づけられるのでしょうか。愛の行いは人類を救うための手段であって、究極的な目的は「平和」です。キリストの使命は「平和をもたらすこと」「平和を求めて生きること」を人々に知らしめることであり、その実現のためには愛の行いが最も大切であることと教えることだったのではないでしょうか。
 キリストが神から受けたこの使命、平和のミッションは、あまりにも大きくて一人の人間ではとうてい担いきれるものではありません。木にたとえるならば、幹に「平和」がとどまり、大枝に、そして小枝に、そしてその先の一枚一枚の葉に至るにしたがって、極めて具体的な「平和の営み」の一つひとつが連なっているといったイメージです。平和の幹につながった一枚の葉として、誰もがキリストの使命の一翼を担っているのでしょう。
 若者たちが、平和のために自分の命を神に預けてキリストの使命の一翼を担う生き方に導かれますようにと祈り、また、私たち一人ひとりも、「あなたがたに平和があるように(ヨハネ20・19,21,26、ルカ24・36)」と語られたイエスのことばにいつも思いをいたしながら、平和を打ち壊す力を退けて日々を過ごしてまいりましょう。