2025年4月  2.AI(人工知能)

 言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術として発展してきたAIは、さらに新しいコンテンツやアイデアを生み出す人工知能である生成AIにまで進化しています。AIのA はartificial で人工の意味です。そしてIはintelligenceで、知性のことです。生成はgenerativeの訳で、言語学で文を生成することにこの語をあてています。
 教皇の意向は、「新しいテクノロジーの使用」で、その使い方において人間としての尊厳が尊重されるように促し、それが「時代の危機に立ち向かう助けとなりますように」と祈るように、私たちを導いています。
 AIの進化によって、人間がコンピュータに支配されてしまうといった心配が生まれてきますが、私たちの人間性には、知性のほか、感性、理性、霊性の要素が内包されていますから、どれだけAIが進化しようとも、コンピュータが人間を超えることは、決してあり得ないことです。
 ですから、知性の領域はコンピュータに任せて、私たちは他の三つの要素である感性、理性、霊性を高めていくことが求められているのでしょう。特に信仰を生きる私たちキリスト者は、神との交わり、人間を超える大いなるものとの対話である霊性を高めることを心掛けるように促されています。コンピュータが神と対話することはできませんし、あり得ません。ですから、AIによって導き出されたことについて、祈りの中で神と対話して、それが神の望みにかなっているかを識別することが求められるのでしょう。
 教皇の意向に心を重ねて、新しいテクノロジーが、「時代の危機に立ち向かう助けとなりますように」、日々の祈りをささげてまいりましょう。