2025年10月 3. ノストラ・エターテ
「ノストラ・エターテ(Nostra aetate)」、これは、第二バチカン公会議の公文書のひとつ、「キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言」です。1962年から1965年にかけてカトリック教会で開催された、現代社会への適応と教会内部の刷新を目指した教会史上21回目の公会議を経て、16の公文書が発布されました。重要な文書には「憲章」という名前が付けられ、「典礼憲章」「教会憲章」「神の啓示に関する教義憲章」そして「現代世界憲章」の4つがそれにあたります。そのほかに「教令」が9つ、そして「宣言」が3つ発布されましたが、これはそのひとつで16の中でもっとも長いタイトルの文書です。
内容は、まさにキリスト教以外の諸宗教に対して、カトリック教会がどのような姿勢で接することがふさわしいかについて述べていて、タイトルはいちばん長いのですが内容は全部で5項と最も短いものです。
第3項ではイスラム教を取り上げて、「過去のことは忘れ、誠実に相互理解に努め、すべての人のために共同して社会正義や道徳的な善や平和や自由を守り促進するように奨励する」と述べています。かつて十字軍を組織してイスラム社会を殲滅(せんめつ)せんと東征したことを思えば、この宣言がいかに重みのあるものであるかが想像できます。
第2項では「これらの宗教の中にある真実にして神聖なものを何も拒絶することはない」と述べ、「その行動様式や生活様式も、その戒律や教理も、心からの敬意をもって考慮する」と宣言しているのです。
教皇の意向は「さまざまな宗教的伝統を信じる人々」と協力して、「平和、正義、人類の友愛を擁護し促進」するようにと祈ることを奨めています。まさに、「ノストラ・エターテ」の宣言するところを心に留めて、日々の生活の中で祈り求めるようにと招いているのでしょう。日本の社会ではキリスト教徒はマイノリティです。私たちが日々接する人々の信仰に敬意を払い、ともに歩んでまいりましょう。

