2025年10月 5. さまざまな宗教
国連人口基金(UNFPA)の『世界人口白書』2025年版によると、世界人口は82億3200万人でした。前年から1億1300万人の増加で、80億人を超えた2023年から増加が続いています。一方、宗教別の統計を見ると、出典はそれぞれ異なりますが、キリスト教が約23億人、そのうちカトリックが約14億人でした。他の宗教では、イスラム教が約20億人、ヒンドゥー教が約12億人、仏教が3億人です。 Pewリサーチセンターの2025年のデータによると、この四大宗教の他に、世界各地域にある民間信仰、日本の神道もその中に含められますが、それに帰属する人が約2億人となっています。
宗教帰属の統計は、おもに宗教団体が発表する数値を取りまとめる方式で算出されますので、信頼性と妥当性の程度は高くありません。例えば日本の場合では、『宗教年鑑』2021年版によると、神道系が8792万4087人、仏教系が8397万1139人、キリスト教系が191万5294人、その他の諸教が733万5572人で、合計1億8114万6092人となり、これは日本の総人口のおよそ1.5倍にあたる数値となります。したがって例えば仏教の菩提寺に墓があるので檀家としてカウントされ、同時に近所の神社の氏子となっているので、そこでもカウントされるなどして、複数の宗教の「信者」として数え上げられている国民が確実にいることになります。個々の国民へのアンケート調査などでは、その数値とは反対に、何らかの信仰・信心をもっている人は2割から3割という結果が出ることが多く、総人口を大幅に下回る数しか信仰者がいないということにもなります。
教皇の意向は、「さまざまな宗教的伝統を信じる人々」の協力です。宗教とは、神や仏といった人間を超えた存在を信じ、それに基づいて儀礼等を制度化したものを言います。ですから、生命の神秘、宇宙の神秘など、人間の力ではどうにもならない超越なるものの存在を教義の中で体系化していて、人間がすべてを支配できるといったわがままに一定の制限を及ぼす役割をもっています。他の宗教を否定しない限り、教義の違いを越えて、平和、正義、友愛のために、協力することできるはずです。
必要なのは、宗教をもたず、超越なるものの存在を認めない人々との協力です。日本では7割から8割の人々がそれにあたりますし、世界の人口統計からは、約20億人の人が無神論、無宗教だということになります。
教皇の意向に合わせて、信仰をもたない人々も含めた全人類の協力のために、祈りをささげる一週間と致しましょう。

