2025年11月 3. 自殺防止の取り組み
「自殺はその多くが追い込まれた末の死であり、その多くが防ぐことができる社会的な問題です。このような、基本認識の下、自殺対策を、生きることの包括的な支援として、保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連施策と連携を図り、総合的に推進していきます。」これは、厚生労働省のウェブサイトの自殺対策の冒頭に掲げられている文章です。印象的な言葉は「その多くが防ぐことができる社会的問題」ととらえていることです。世界保健機関(WHO)も同様の見解を示していて、世界の共通認識となっています。
警察庁の自殺統計によると、日本での自殺者の数は、1978年から1997年の20年間は年間2万人台で推移していたものが、1998年に突如32,863人と前年より約8千人の増加が示されました。そして年間3万人台は2011年まで続き、そのピークは2003年の34,427人にまで達する事態となりました。この事態に対して、政府もそれぞれの自治体も、そして民間の福祉関係の機関なども協力して自殺防止対策に取り組み、2012年には27,858人と2万人台を回復し、その後暫時減少の傾向が続いて、近年は2万1千人台で推移しています。自殺についての統計には、自殺死亡率があります。これは、人口10万に当たりの自殺者数を示しています。ピークの2003年の自殺死亡率は40.0でしたが、最新の統計である2023年には24.6まで減少しています。
それでも、年間に2万人もの人が自らの命を絶つという事実は、さらなる対策の必要性を示していると言えるでしょう。厚生労働大臣指定の「いのちを支える自殺対策推進センター」は、「精神保健的な視点だけでなく、社会・経済的な視点を含む包括的な取り組みが重要であり、そうした『生きることの包括的な支援』を実施するためには、様々な分野の施策、人々や組織が密接に連携する必要があります」と見解を述べています。
https://jscp.or.jp/overview/countermeasures/
教皇の意向は、「自殺防止」です。世界の共通認識となっているこの自殺という「防ぐことができる社会的な問題」について、自分が関わることが可能な領域を思い、そして心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。

