2025年11月 4. 韓国のキリスト教
日本の教会は、韓国との間での福音宣教のための助け合い、未来に向けての協力関係の構築について、祈りをささげるように私たちを招いています。隣国の韓国に、キリスト教はどのように伝来し、発展してきたのでしょうか。
朝鮮半島に初めて宣教師が足を踏み入れたのは、1593年にキリシタン大名小西行長の文禄・慶長の役に従軍司祭として同行したイエズス会司祭のグレゴリオ・デ・セスペデスだと文献に示されています。小西はジュリアおたあと呼ばれる朝鮮人幼女を得ていて、養父に倣って洗礼を受けたので、ジュリアおたあが歴史上最初の朝鮮人キリスト教徒だと考えられています。しかし、従軍司祭の目的は宣教ではなかったので、教会が誕生するきっかけにはなりませんでした。
1631年、李氏朝鮮の時代に、キリスト教に関する書籍などが輸入され、1777年頃からそれを研究した学者の中からイエスを信じるキリスト教徒の共同体が形成されていたといわれています。司祭なしに、私的にキリスト教を信仰していた共同体でした。
その後時を隔てて、1845年に上海で司祭に叙階されて帰国したキム・デゴン(金大建)師が布教を始めましたが、キリスト教は邪教とみなされ弾圧が加えられ、棄教を拒否したことから103人の信徒とともに処刑されました。1866年には密入国していたシメオン=フランソワ・ベルヌー司教らフランス人司祭9名と、約8,000名の信徒が捕縛・処刑される丙寅教獄が起こりました。その後、生き延びた信徒は拷問を受けながらもその信仰を守り、現在、韓国のカトリック信徒の割合は総人口の約1割に至っています。
1876年の朝鮮の開国によって欧米諸国との外交関係が樹立されると、プロテスタント諸派が朝鮮に宣教師を派遣しました。そして、若者の教育にかかわり、学校を設立して影響力を拡大していきました。その後、日韓併合、第二次世界大戦、朝鮮戦争を経て、厳しい生活条件の中で暮らす韓国人の間でキリスト教は着実に広まりました。特に、朝鮮戦争において北朝鮮軍との地上戦に住民が巻き込まれ、同じ民族・同じ言語で敵味方が解らず多数の犠牲者が出る中、キリスト教徒はブリキや木片で十字架を作って首から掛けることで、国連軍の庇護を受けることができたことは、終戦後キリスト教の発展につながったと考えられています。プロテスタントは人口のおよそ2割です。国全体ではおよそ三分の一がキリスト教徒で、その総数はおよそ1300万人余りを占め、仏教をしのいで韓国で最大の宗教となっています。
韓国の教会、そして一人ひとりの信仰生活に思いをいたし、協力関係が一層育まれますようにと、祈りをささげてまいりましょう。

