2025年3月  4.アンガーマネジメント

 教皇の意向は「危機に瀕する家族」です。怒りの感情をどのように表現してよいかわからず、怒鳴ったり、机をたたいて大声を出したり、時には手を出すなどの暴力に訴えたりして、互いに傷つけ合ったりしてしまうことが、家族関係を壊してしまうきっかけにもなります。
 どのように怒りの感情と付き合うことが賢明なのかについて、1970年代にアメリカで生まれた「アンガーマネジメント」を参考にして考えてみましょう。これは、違いを受け入れて人間関係をよくする心理トレーニングです。怒らないことを目指すのではなく、怒る必要のある時に上手に怒れて、怒る必要のないことは怒らなくて済むようにするためのもので、当初は犯罪者のための矯正プログラムに用いられましたが、今では一般化されて広く活用されています。
 有効なアンガーマネジメントの方法としては、リラクゼーション、注意深い呼吸運動、認知の改善(認知行動療法)、イメジェリー(患者をくつろがせ、様々なイメージを思い描かせることによって症状をやわらげる治療)、コミュニケーション向上戦略、対人スキル、マインドフルネス(ヴィパッサナー瞑想)などがあります。
 なかでも、認知行動療法は、アンガーマネジメント治療においてよく用いられています。これは、無意識ではなく観察可能な意識的な思考に焦点をあてて感情を観察して、怒りの抑制という特定の目的を達成することによって、その動機を認知し、自分の行動に対してうまく対処できるようにする方法です。また、アンガージャーナルといって、怒りに関する日記をつける方法も有効だとされています。自分自身の感情を理解することは、怒りに対処する方法を学ぶ上で重要です。自分の負の感情や怒りを書き留めることによって自分の立ち位置を再確認し、攻撃的な行動の代わりに自分を落ち着かせる方向へと向かっていく効果があります。
 アリストテレスは「怒ることは誰にでもできる。ただ怒るのは簡単なことである…しかし適切な相手に、適切な程度に、適切な場合に、適切な目的で、適切な形で怒ることは容易ではない。」と記しています。もし、家庭内で「怒り」がもとに関係が壊れてしまっていたなら、是非この方法を学んでみるとよいでしょう。
 教皇の意向に合わせて、怒りのコントロールについて思いめぐらす一週間といたしましょう。

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